Love Letter

制作年月日:2008年3月
サイズ:F8号
材料:雲肌麻紙・顔料・膠・箔
個人蔵


「やぎさんゆうびん」

白やぎさんから お手紙ついた
黒やぎさんたら 読まずに 食べた
しかたがないので お手紙かいた
さっきの 手紙の ご用事なぁに


黒やぎさんから お手紙 ついた
白やぎさんたら 読まずに 食べた
しかたがないので お手紙かいた
さっきの 手紙の ご用事 なぁに

まど・みちお作詞/團伊玖磨作曲

 良く知られている童謡の「やぎさんゆうびん」ですが、優しいメロディの中に流れるユーモラスな歌詞を聴いているうちに少し疑問を抱いてしまいました。結局この歌の中では、やぎさん達は何をお互い書いたかも分からず仕舞いなのです。

相手に自分の意志が届かなかったり、伝わらなかったりするケースは普段良くある事だと思います。インターネットや携帯電話等がこれだけ普及したこの世の中で、沢山の事を綴ってメールを交換したり、携帯電話で話をしたりするのも良いのですが、一通の手書きの葉書や絵手紙にホッと心が和んだり、直接会って話をしたら、お互いの誤解が氷解した。等という体験は皆様にも少なからずある筈だと思います。

この「LoveLetter」という作品は、「白やぎさんが黒やぎさんに手紙を丁度渡した。」という風に見て頂いても良いですし、その逆に、「黒やぎさんがこれから白やぎさんに手紙を渡そうとしている。」という風に見て頂いてもどちらでも構いません。
本当にお手紙を届けたいのならば、他人任せにせずに直接自らの足で渡しに行けば良いだけの話だったのです。

 障害や人種、様々な壁を越えて、お互いの気持ちがしっかりと届き合う世界になります事を祈って描いたものです。