追儺

制作年月日:2007年6月
サイズ:315mm×153mm
材料:雲肌麻紙・顔料・膠・箔
個人蔵

 鬼や厄を祓うという民間信仰の行事として、節分の豆まきはあまりにも有名ですが、 鰯(イワシ)の頭に柊(ヒイラギ)を挿したものを玄関等に飾るというものもあります。
都会ではあまり見られなくなっている様ですが、鰯の匂いと、柊の棘の組み合わせには鬼や厄を退ける力があると信じられて、現在でも行っている人はいると思います。
これだけ複雑な現代ともなりますと、鰯や柊といったもので鬼や厄が祓えきれるのかというと微妙なところですが、長年に渡って信じ続けてきた人々の気持ちが込められていて、たかが風習とはいえ、そこには既に信心を越えた何かが宿っている様にも思えて仕方ありません。
 鰯と柊のそれぞれの要素が融合していき、新たな存在へ、力強く美しく昇華していっている様を、私なりに鰯と柊南天をモチーフに描いてみたものです。