Wave

(C) KEN SHIOZAKI

制作年月日:2001年8月
サイズ:F4号(333×242mm)
材料:雲肌麻紙・顔料・膠・箔

 近年都会の夜空を飛翔するコウモリをよく見かけるようになりました。私は、超音波を吐き出しながら紙切れの様に舞うその姿に、携帯電話で話しながら夜の街を移動する私達自身を見てしまう事があります。コウモリだけがほ乳類の中で唯一飛ぶ事のできる動物であるという事も、更に私にとってそう感じさせる要因なのかもしれません。
現代の社会では、色々な「波」が至るところで私達の周りを飛び交っています。
時代の波、と称される目には見えない大きなものから、逆に、目に見える全ての色彩(実は太陽光のうちのごく一部の波長)、ラジオ、テレビの情報も全て波が運んでいる様に、挙げればきりがありません
この作品は、そんな無数の波が交錯した状態のこの世の中で、うまく自分に必要な波を取捨選択ながら進んでいきたいという想いを、東京タワーの下を飛翔するコウモリの姿に投影して描きあげたものです。