馬の耳に念仏

(C) KEN SHIOZAKI

制作年月日:2001年6月
サイズ:F30号(727×910mm)
材料:雲肌麻紙・顔料・膠・箔

 馬の耳に念仏。中国では馬耳東風と言います。
どんなに有り難い念仏であろうとも、人には春を告げる心地よい東風(こち)であっても馬の耳には届かず、何も感じられません。
いくら意見や忠告を言って聞かせてみてもただ聞き流すだけで全く通じない状態をあらわすこんな諺にも、もう一つの捉え方をしてみたくなりました。
「どんな意見を聞いても聞き流せる」というのは、相当に肝がすわり、ある意味見上げた度量の持ち主でもある様にも思えるのです。
この「馬の耳に念仏」という作品は、「人の意見には率直に耳を貸そう」、という通例の解釈と「どんな状況に陥っても自分自身の小さな信念を曲げずにいこう」という私なりの二つの考えを馬(モデルは蒙古野馬:現在世界で唯一の野生馬)と六字の念仏(南無阿弥陀仏)の組み合わせによって描いた作品です。