俎板の鯉

(C) KEN SHIOZAKI

制作年:2000年11月
サイズ:SM号(227×158mm)
材料:雲肌麻紙・顔料・膠
個人蔵
撮影:栗生浩一

「まなの上の鯉」になった気分だ。という様な例えがあります。普通は何か物事がどうにも救いようもない状態に陥った時に使われる言葉です。
そんな切羽詰まった状況を指すこの言葉ですが、それだけに「まな板の上」に乗ってしまった瞬間というのは、人は自分の思いもよらぬ力、真価を発揮出来るチャンスである。と発想を転換して捕らえてみてもいいと思うのです。
人は現在の地位や財産等々、全て捨て去った状態に何が残るのでしょうか?
仮にその様な状態に陥ったとしても、そうなった以上は今までの経験の積み重ねや本当の自分の真の力を信じ、出るとこに出て勝負を付けていこうという前向きな気持ちが重要になってくるはずです。
この「俎板の鯉」は、窮地に陥った時にこの作品と対峙した人に、冷静かつ客観的な気持ちになってもらう事で、そこからその人の真の力を発揮できます様に。またその後押しが出来ます様に、と密かに期待を込めて描いた作品です。