(C) KEN SHIOZAKI

制作年:2000年11月
サイズ:F10号(530×455mm)
材料:雲肌麻紙・顔料・膠・箔
個人蔵

 宵の月明かりと、電信柱の上にあるトランス(変圧器)に巣を作ったカラスをモチーフににしました。
近年、野生動物と人間の、お互いの生活圏の干渉が問題になっていますが、特に都会において、カラスは人間の生活に密接に入り込んで生きている動物の1つだと思います。
日本人とカラスの関わり合いは今に始まった事ではなく、古事記や日本書紀には3本の足を持つ神鳥「八咫烏(ヤタガラス)」として登場してくる事などからも、そのつき合いの長さがうかがえます。しかし、現代ではゴミを漁ったり繁殖期に人を襲うなど、害鳥のイメージがとても強くなってきていて、その繁殖ぶりとは裏腹に彼等の肩身はとても狭いものになっていると思われます。
苦境の中でもたくましく立ち上がれる力強さというものを、軒先やゴミ箱から失敬してきたハンガーを巧みに組み上げた巣の上で立つカラスの姿に投影して描いた作品です。